戦後カールツァイスのイチゴゾナー。中古市場でそこそこ見かけるレンズだが、きれいなものは少なくカビやクモリを持つものが多い。状態の悪いレンズを安く買って分解清掃して使おうとする方もおられると思うので分解記録を載せておく。なお、このレンズは貼り合わせが多いため、単純な清掃ではクモリやカビが除去できないこともある。
まず銘板を外す。固着している個体では銘板と一緒にレンズの前枠が回ってしまうこともある。その時は↓このように前枠ごと外してしまって良い。
レンズサッカーを使って引っ張り出す。簡単に出てこないこともあるがそんな時でも慌てない。手で握っていると体温で鏡筒が膨張してすっと外れることもある。どうしても外れない時は後玉を外して後ろから押し出す。
次のレンズも同じようにして引っ張り出す。
二つのレンズ群を外すと絞りに到達。
今度は後玉を外す。
外側のリングを外すと銀の筒が取り外せる。この時、位置を決めるためのネジのような部品が落ちる可能性があるので下に広めの受け皿を用意して慎重に取り外す。内側のリングは外す必要のない(外れない)タイプもあったと思うが、この個体に関しては外したような気がする。分解してから時間が経つので記憶が曖昧だ。同じ50mmF1.5でも違う部品が使われていることがあった。おそらく製造年代により少しずつ違うのだろう。
↑外側の筒を外すとこんな状態になる。写真真ん中あたりに見えるリングは無限遠の位置を決める部品なので回さない。
後ろのレンズ群もねじ込み式ではないので引っ張り出す。
レンズは全部で3群。
このレンズの難しいところは貼り合わせだ。
レンズ構成図を見ると、3枚のレンズが貼り合わされてこの一群を形成していることがわかる。
Wikipediaより
オールドレンズではこの貼り合わせ面によく問題が生じる。バルサム切れによるクモリなど。このレンズはカビが生えていた。
このカビは貼り合わせ面に生えてしまっているので除去できない。
溶剤につけてレンズを剥がしてしまうことも可能ではあるが、再び貼り合わせる際に光軸を合わせる術が私にはない。以前、バル切れしたタクマーレンズで一度剥がして再接着してみたことがある。見た目はクモリが消えてきれいになったが写りはそれほど改善しなかった。多分光軸がずれてしまったのだと思う。
ゾナーは貼り合わせが多いから分解してもきれいにできない可能性は結構高いと思う。