広角端24mmからの約2倍のズームレンズを搭載したフィルムカメラ。
2002年11月発売。限定のブラックは2003年9月発売。2007年5月に出荷終了。
28mmスタートはよくあるが24mmは珍しい。28mmと24mmは数字だけ見るとあまり変わらないような気がしてしまうが、実際に使ってみるとその使い勝手はかなり違う。街中で28mmだと狭いと感じることが結構あるが24mmではほとんどない。画角にすると28mmが対角75°程であるのに対し、24mmが84°程度になる(35ミリ判での話)ので、この感じ方は当たり前といったところか。正直なところレンズのスペックは焦点距離より画角で表した方が分かりやすいのではないかといつも感じる。まあその話はこのカメラには関係ないことなので置いておく。
広角端24mmから望遠端50mmまでの画角の違いが分かる写真を掲載する。1枚目が24mm、3枚目が50mm、2枚目は中間。
冷蔵庫に長期間保管されていたKonicaMinoltaのネガフィルム、CENTURIA100-Sを使用。デジタル化は現像時にフジカラーのサービスを利用した。
2倍ズームだと物足りないような気がしてしまうが、こうしてみるとそこそこ引っ張ってこれることが分かると思う。街中でスナップ写真を撮るだけなら50mmもあれば十分なので個人的には24-50というレンジは大変好ましいと思う。もちろん85mmまでカバーしてくれれば言うことなしだが、それでせっかくコンパクトに収まっているサイズが大きくなってしまっては元も子もない。
↑広角24mm時のレンズ。
↑望遠50mm時のレンズ。
ここからは街中で撮影した写真を掲載していく。
さすが24mm、という広角感。
↑こちらは50mmで撮影。
↑広角端24mmで撮影。歪曲がなくてすばらしい。フィルムカメラだと歪曲なしのレンズを画質の犠牲なく実現できるから良い。仮にこのレンズをデジタルカメラに移植したら周辺描写が破綻するだろう。
レンズの性能は良く、逆光でも問題無し。
日付も入れられるので何となく入れてみたが、背景が黒くないと見づらい。
この機種はシルバーとブラックがあって、ブラックは露出補正が可能となっている。ネガフィルム使う分には特に必要ないような気がするが、ポジを使うなら是非とも欲しいところ。
フィルムカメラだから、デジカメのように「コンパクト=豆粒センサー」という図式はなく当然のようにフルサイズ。なので構図を選べばボケも十分得られる。上の写真は50mmで撮影。F値はおそらく開放の5.6。露出は自動なので断定はできない。
広角側は開放F2.8なので薄暗くなっても対応できそう。
これは中間域で撮影した写真だったか。メモしておかないと正確なことが書けないので困る。こういう時にデジカメのありがたさ、Exifのありがたさを知る。
↑ストラップに付いているのはリモコン。説明書にはリモコンの電池交換はサービス、もしくは販売店に持っていくよう書いてあったが、ドライバー1本で簡単に開けられるし電池もCR1620でそこらで買えるので自分で交換できる。
ただ電池の場所は基板の裏側で、基板自体を外さないとアクセスできない。不安な人は富士フイルムに持って行った方が良いだろう。
ちなみにこの電池交換後にLEDの点灯を確認するためiPhone7のカメラに照射してみたがまったく見えなかった。他のカメラでは見えたので問題なかったが、最近のiPhoneカメラがそこまで赤外線をカットしているとは知らなかった。
総評としては小さく軽く扱いやすい上、レンズのスペックはマニア向けで写りも良く、大変良いカメラだと思う。残念なのはスペックはマニア向けなのに自動露出モードしかない点。まあ開放F値が2.8-5.6ということで、そもそもボケのコントロールを意識するほど自由度は高くないから大した難点でもないのだが。ただ、マニアからすると絞り優先モードくらい付けておいてよという感じ。
あと困るのは赤目軽減モード以外のフラッシュの設定を記憶してくれないこと。電源入れるたびに発光禁止にするのが面倒くさい。
外装はコンタックスTシリーズのような高級感はないものの、別段安っぽくもなくしっかりしている。デザインも特に気をひくようなポイントはないが、それがまた高性能とのギャップとなって良いのかもしれない。ガワは普通のコンパクトカメラだけど、撮れる写真は高級機並みですよ、という。
電池はCR2一本で動く。説明書によると400コマ撮れるらしい。