FEマウントで最初に発売された標準レンズ。Carl Zeissの名を冠した高級シリーズでもある。今でこそ廉価版の50mmF1.8が用意されているが発売当初は他に選択肢がなかったため、最初の標準レンズを高価格帯のツァイスで出してきたソニーに異を唱える人も多かった。と記憶している。
発売されてからは撮影サンプルや各種テスト結果により価格に見合う性能を持っていることが明らかになり、そういった声も小さくなって今現在の確固たる地位を築くに至る。
見ての通り小型なので扱いやすい。それでいて絞り開放から全面にピントがしっかりくる。
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/8000
中央部ピクセル等倍切り出し
左端部切り出し
右端部切り出し
4000万画素をピクセル等倍で見てもこれだけ写っている。しかも中央と周辺部の写りにほとんど差を感じない。
ちなみにFE50mmF1.8とは周辺部の描写に大きな差がある。比較結果を過去の記事に書いているので参考にしてください。
55mmという中途半端な数字だが感覚的には50mmのレンズを使っている時と特に変わらない。FE50mmと比較すると確かに少しだけ画角が狭いが、同じ条件で撮影、比較してようやく気づく程度でしかない。
α7S + SEL55F18Z ISO100 F11 1/125
標準レンズなので何でも撮れる。もちろん画角は広くないから広角レンズのように広範囲を収めることはできないが、絞って平面的な風景を収めることは当たり前ながらできるし、絞りを開けて望遠レンズのように被写体を浮き上がらせることもできる。そして望遠レンズのように狭い画角の制約を受けないから構図の自由度も高い。
α7RII + SEL55F18Z ISO320 F4.0 1/250
α7S + SEL55F18Z ISO100 F3.5 1/5000
α7RII + SEL55F18Z ISO250 F2.5 1/250
等倍切り出し。
オートフォーカスは静かで速い。α9 + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/640
厳しい逆光条件でも破綻しない。多くの場面でフレアが生じることなく色がしっかり残ってくれる。α9 + SEL55F18Z ISO100 F4.0 1/200
α7S + SEL55F18Z ISO250 55mm F1.8 1/4000
ピントを遠くに置いてもいい塩梅にボケてくれる。こういう場所で被写界深度を深くするとどうしてもうるさい写真になりがちなので、こうやって適度にボケてくれるとありがたい。
ちなみにこの写真はRAW現像時にかなり暗部を持ち上げている。元の写真では右の建物は黒く潰れている。
暗部を持ち上げても色が破綻しないのはα7S系ならでは。7RIIもかなりがんばってくれるが、7S系の方が色がきれいに出る。
ボケ Bokeh
背景次第だがボケは絞り開放付近で周囲が若干流れる。
α7S + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/1000
↓ボケの流れが気になる場合は少し絞れば解消する。
α7S + SEL55F18Z ISO100 F2.5 1/1000
これらの写真、ぱっと見では何を撮ったか分からないだろうが、中央にいるメジロを撮影したものである。フルサイズの55mmではこのくらいの大きさで写すのが限界。これ以上近寄ったら逃げられてしまう。まあ最近のデジカメの性能なら画質を損なうことなく切り出し拡大できるので、一見遠めに感じる被写体でも実は結構いける。
開放付近で見られるボケの流れは被写体によって現れたり現れなかったりする。F1.8-2.0で撮影した写真を並べてみる。
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F2.0 1/3200
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/1000
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/1250
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/8000
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/1600
α7S + SEL55F18Z ISO500 55mm F2.0 1/8000
流れが生じる条件はよく分からない。ピントの位置、そこからの背景、前景までの距離、丸ボケの有無あたりが関係しているような気はする。いずれ検証してみたい。
α7S + SEL55F18Z ISO125 F1.8 1/8000
丸ボケの形を確認。中央部拡大。
左上拡大。口径食によりボケが潰れ両端が尖る。
丸ボケの形状変化は口径食が主因だろう。ボケが流れる現象は口径食より非点収差だろうか。このレンズのMTFを見ると周辺部において放射方向と同心円方向のコントラスト応答に差があるので非点収差自体の存在は窺える。
α7SII + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/125
コマ収差 Coma
絞らずに夜景を撮ると気付く。
α7S + SEL55F18Z ISO200 F2.0 1.6秒
右端拡大。光点が外に向かって尾を引き三角形になってしまっている。
絞れば解消する。
α7S + SEL55F18Z ISO100 F5.6 30秒
歪曲 Distortion
α7RII + SEL55F18Z ISO250 F2.0 1/250
使用していて歪曲が気になることはない。とは言えこのような写真で粗探しをしてみると四隅に怪しい箇所を見つけることもできる。Lightroomのレンズプロファイルによる補正を有効にしてみると……
分かりにくいので修正前と修正後をアニメーションGIFにしてみた。
四隅を見れば変化していることが分かるだろう。
歪みはあってもこの程度に過ぎない。
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F4.5 1/640
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F1.8 1/640
α7RII + SEL55F18Z ISO100 F2.5 1/250
α9 + SEL55F18Z ISO100 F2.2 1/80
α7S + SEL55F18Z ISO100 F14 1/250
フルサイズの標準レンズは使っていて楽しい。画角的にもそこそこ広い範囲をカバーしつつボケもしっかり活用できるので、表現の幅がとても広いと感じる。フルサイズのレンズにしては小さく軽いので、気軽に持ち出せるのも良い。
趣味で写真をやってみたいと思う人はまずこういった標準レンズを付けてあれこれ撮ってみると写真の面白さが分かって良いと思う。
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