1953年10月に発売されたコンタックス用広角レンズ。35mm判カメラでこの画角(対角90度)のレンズは世界初だったらしい (クッツ著『コンタックスのすべて』)。
フジのXF14mmやシグマのDP0といった21mm相当のレンズが好きだったので、その始祖とも言えるビオゴン21mmはいつか手に入れたいと思っていた。ただ、数が少ないのかあまり出回らず、出ても高額になってしまうのでなかなか機会がなかった。
先日、状態の良さそうなものがファインダー付で6.5万くらいで出品されていたので入札してみたところ競り合いになることもなく落札できた。ものすごく安いわけでもないが、コシナ復刻版の中古価格と同じくらいだから歴史の重みを加味すれば十分割安と言えるのではないだろうか。そう自分に言い聞かせてこの散財の正当化を図っている。ちなみにオリジナルと復刻版のレンズ構成は同一ではない。
まずオリジナルビオゴン21mmF4.5のレンズ構成図。クッツの本に載っていた図を元に描いた。
そしてコシナの復刻ビオゴンのレンズ構成。出典はツァイスのサイトに公開されているデータシート。
素人目には随分異なっているように見えるが、光学的には似たような構成になるようだ。以前あったコシナのサイトの商品説明には「レンズ構成を継承した」と記載されていた。
性能はコシナの方が優秀なようだが、オリジナルの方はいかにも対称型というレンズ配置でマニア心をくすぐる。
マウントアダプターでアルファに装着。
F値の違いによる解像力の比較(遠景)。
中央部は開放から十分。周辺もF8くらいから安定してくる。F22まで絞れば画面全域で安定する(が中央部は小絞りボケでやや解像力低下)。
デジタルカメラと相性の悪いビオゴンだから周辺部はもっとボロボロになるかと思っていたが意外と健闘している。これなら懐古趣味の為だけではなく広角レンズとして普通に使うこともできそうだ。
対称型なので歪曲収差は少ない。
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO320 F11 1/250
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO1250 F11 1/250
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO100 F4.5 1/800
DP0のようにゼロディストーションを謳っても文句は出ないだろう。
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO800 F16 1/250
基本的にコントラストの高い写りで逆光にも強い。
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO200 F11 1/250
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO125 F4.5 1/250
ヒマワリもうなだれるほどの暑さ。
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO100 F4.5 1/250
21mmのレンズにボケを期待する人はあまりいないかもしれないが、撮影した写真を改めて眺めていると背景がきれいなボケ方をしていることに気付いた。
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO200 F4.5 1/250
α7SII + Biogon21mmF4.5 ISO100 F5 1/125
決してうるさくならず滑らかにボケる。ボケにはまったく期待していなかったからこれには驚いた。
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO100 F4.5 1/640
中央部付近を拡大。
中央付近は本当によく写る。開放でも滲むことなくクッキリ。
α7RII + Biogon21mmF4.5 ISO100 F4.5 1/500
次はコンタックスに付けてフィルムで撮影する予定。
α7SII + Biogon21mmF4.5 ISO200 F4.5 1/250
↓2020年9月にフィルムカメラでの作例をアップロードしました。