fortia’s カメラレビュー

カメラと猫と骨董品

飛蚊症とセンサーゴミ

子供の頃から視界にゾウリムシのような半透明の何かが浮かんでいた。空や一面真っ白なものでも見ない限り目に映らないから気にしていなかった。

年を重ねるごとに少しずつその何かが増え、書類を落ち着いて読めないなど日常生活に問題が生じるようになった。医者にかかるのは好きではなかったが背に腹は代えられない。もう十年以上前のことだが一度眼科で診てもらった。その時の検査結果は単なる飛蚊症で網膜に異常は見られないということだった。

飛蚊症とは眼球内を満たしている本来無色透明な硝子体の一部が変質して濁りを生じ、その濁りが影となって網膜に映る症状のことである。デジカメのセンサーゴミと同じ現象だ。飛蚊症はそれ単体なら放置しても問題ないが、網膜剥離など重大な病に付随する症状でもあるから、急激に悪化した場合は検査を受けるべきとされている。

 

「網膜に異常はないから大丈夫」と言われても私の視界は目玉を取り出して洗浄したくなるほどゴミだらけだった。網膜に異常がないのは有難いが私は視界の異物を何とかしてもらいたかったのだ。ゴミの写り込みが気になって修理に出したカメラが「センサーに異常はないので大丈夫です」と無処置で送り返されてきたら困惑するだろう。ゴミの写り込んだ写真しか撮れないカメラが正常なわけない。

しかし人間の目の場合、単なる飛蚊症には治療法がないからどうしようもないらしい。※

残念な話だ。

 

※あとで知ったことだが、まったく治療法がないわけではないらしい。硝子体へのレーザー照射で異物を分解したり、硝子体を吸い出して代替物質で置き換える手術があるそうだ。話を聞いた医師は「レーザーはあんまりおすすめしない、それをやるくらいなら硝子体手術の方がいい」と言っていた。硝子体を入れ替えても見え方は変わらないと言っていたが、どうだろう。大まかには変わらないのだと思うが、厳密な話をすれば屈折率とか同じにならなくて微妙な違いが出そう。なお、レーザー治療も硝子体手術も飛蚊症の治療としては保険適用されない。