前回デジカメで使用したビオゴン21mmをContax IIaに取り付けて撮影してきた。使用したフィルムは廃番になって久しいトレビ。使用期限を10年過ぎていたものの購入以来ずっと冷凍庫に保管(放置)していたため特に劣化もせず問題なく現像できた。
デジタル化するにあたりコニカミノルタの古いフィルムスキャナdimage dual4を引っ張り出してきたが、どうもピントが来ないのでニコンのスライドコピーアダプターES-1とα7RII + FE50mmMacroを使用した。
この方が微妙なピント調整も可能な上、高解像度で取り込める。ただ、うまく撮影できなかったコマもあったので、それはdual4で取り込んだ。dual4を使用した写真にはその旨記載してある。記載ないものはα7RIIとES-1。
それでは早速撮影結果を。
Contax IIa + Biogon 21mmF4.5 TREBI100C 絞りF4.5で撮影
真ん中付近を拡大。細かいところまでしっかり描写されている。ビオゴンもすばらしいが、リバーサルフィルムの解像力もすばらしい。
さらに驚いたのは絞り開放から周辺描写が大変安定していること。Contax IIa + Biogon 21mmF4.5 TREBI100C 絞りF4.5で撮影
F4.5でもまったく崩れていない。
↓デジタルで撮影した時はF16まで絞らないと安定しなかった。
やはりこのレンズはフィルムで使ってこそである。
F4.5, 1/500
写真の右下部分を拡大。しっかり解像している。
夜景を絞り開放で。
F4.5, 8秒
本当に絞る必要のないレンズだなと。
F4.5, 1/250
F11, 1/1250
厳しい逆光条件でもゴーストが少し発生するくらいで済んでいる。α7RIIで使った時も逆光には強かったが、フィルムだと更に優秀な印象。
F8, 1/100, Dimage Scan Dual IV
対称型レンズの特長で歪曲はない。これに関してはデジカメ使用時と同じ。
F4.5, 1/100, Dimage Scan Dual IV
F8, 1/100, Dimage Scan Dual IV
↑露出オーバー。今回の撮影ではスマホの露出計アプリを使ったりRX100を使って露出の確認をしたりしていたのだが、この時はそれを忘れて前の設定のまま撮影してしまった。
F4.5, 1/250
出来上がったフィルムを取り込んでみて、このレンズの本来の性能を知った。また、リバーサルフィルム自体の魅力も再確認しフィルムカメラの良さを改めて思い知ることにもなった。ビオゴン35mmやゾナーもフィルムで使ってみたいと思う。
とは言え、フィルムカメラにはフィルムカメラなりの難しさもあった。まあこれはフィルムカメラの問題というよりレンジファインダーカメラの問題なのだが……厳密な構図の追求が難しい。
F8, 1/250
この写真にはちょっと嘘があって、本当は下の写真のように画面を横に走る直線が右側に向かって収束する形になっている。上の写真はこの収束する直線が平行になるようにLightroomで補正した結果だ。
被写体と撮像面の平行が完全に維持されていないと、この写真のようにパースがついてしまう。デジカメや一眼レフならば実際に写る範囲を確認できるから、こうした問題も回避できるのだがレンジファインダーカメラでは難しい。三脚を立てればもう少し追い込めるかもしれないが人通りの多い街中では憚られる。
次の三枚も補正済み。
F8 1/500
F8 1/100
F8 1/100
下は補正前。
これだけミスを犯しても補正すれば何とかなってしまうわけで、デジタル化を前提にするならば構図にそこまで気を使わなくても良いかもしれない。もちろん補正しないで済むに越したことはないのだが、街中であんまり長時間カメラ構えていると昨今あれなので。
F4.5 1/250
レンジファインダーカメラは二重像合致によるピント合わせとなり、デジカメの拡大ライブビューのような精密さは期待できない。しかし撮影した結果を見ると十分な精度だった。
F4.5 1/1250
さすがコンタックスといったところだろうか。
医学におけるペニシリンの発見、航空工学におけるジェットエンジンの実現と並び称された※ビオゴン21mmF4.5は、その評価にたがわぬ高性能レンズだった。
※『コンタックスのすべて』より。アメリカの写真家マーティンシュナイダーの言葉だそうだ。↓この方かな。
Martin Schneider (born September 23, 1926), American filmmaker, Photographer, writer | prabook.com