2004年9月発売のペンタックスのコンパクトデジカメ、オプティオエックス。発売当時、この洗練されたデザインが評価されて人気があった。今、オールドデジカメブーム?でこの機種の人気も再燃しているようだ。ヤフオクで動作品が15,000円くらいで取引されていた。
レンズ部が270度回転するのがこのカメラの特徴。これは実用面でもギミック面でも有効で、大変よくできた商品だと思う。実用的には猫撮影などでカメラを下ろして撮影したい時に便利(このカメラはオートフォーカスが遅いから動体撮影は難しいが)。ギミックとしては手にすると意味もなくガチャガチャ動かしたくなる魅力がある。
側面はプラスチック感が強く、この時代の高級コンデジに見られるような重厚感はない。元々そこまで高価格帯の商品でもなかったし軽量化などの目的もあって金属は使わなかったのだろう。でもデザイン的にうまいことまとまっていて特別感が漂う製品になっている。
サイズは11.5 x 5.4 x 1.8cmとコンパクト。シャツの胸ポケットにも入る。
昔のデジカメにはクレードルのオプションがよくあった。オプティオXにも標準で付属していた。
この機種はバッテリーの充電器が付いていないからクレードルを使って充電することになる。カメラのバッテリー部分の蓋が開けにくくて壊れやすそうなので、メーカーとしては頻繁に開け閉めしてほしくなかったのだろう。
本筋から離れるが、ペンタックスのデジカメは起動音、操作音、シャッター音を猫の鳴き声「ニャア」に変更できる。この機種も同様だ。これは笑えるからぜひ試してほしい。
猫がこのシャッター音にどんな反応を見せるのか私はまだ試したことがない。
富士フイルムのゲームができるデジカメの時も思ったが、こういうのはどういう経緯で組み込まれるのだろう。会議室で真顔の技術者が「シャッター音をうちのミーちゃんの声にしたいのですが」とか発言しているのだろうか。
ここからは画質と作例。
解像力
レンズは5.8mm-17.4mmの3倍ズームで、35mm判換算で言うと35mm-107mm。少し広角が足りない標準ズームレンズという感じ。
広角端での描写。ぼやけることなく周辺までしっかり写る。
拡大して見た時の細部の描写はそれなりだが、1/2.5型の500万画素CCDだから仕方ない。
小型センサーでこの画質は良い方である。
この後コンデジ界は画素1,000万超えの時代に入るのだが、小さなセンサーに無理に画素を詰め込んだせいか細部の描写が悪化しドロドロ画質になってピクセル等倍鑑賞なんてできなくなってしまう。拡大して画質評価できるだけで十分とも言える。
同じ位置から望遠端で撮影した写真がこちら↓
広角側の方がキレが良いように見えるが、自動露出のばらつきで少し暗めに写ってしまったせいかもしれない。
歪曲収差
広角端の歪曲収差は樽型で、被写体によってはやや目立つ。↑これに関しては狙って撮っているから分かりやすく出ているだけで、実際の撮影場面で気になることはそう多くない。
関係ないが左側ポスターのみなとみらいホールオルガン1ドルコンサートがまだ続いていたとは。
ズーム中域からは歪曲ゼロになる。
歪曲を避けたい場合は少しズームして撮影すると良い。
高感度
感度はISO80-320まで設定できる。最高感度がISO320というのに時代を感じる。今はISO12800を当たり前のように使うから。
感度は数字が大きいほど暗い場所に強くなるが、代わりにノイズが増える。
切り出して見ればカラーノイズは出ているが、全体を見れば全然気にならない。
最高がISO320ではさすがに夜景は厳しい。デフォルトのPモードではシャッター速度の下限が1/40秒なので写せない場面が多くなる。
そういう時は「夜景モード」にする。
これで1/40秒より低速のシャッターが切れるようになる。
ただ、夜景モードだと0.3秒なんて無茶なシャッタースピードにもなるから、慎重にシャッターボタンを押す必要がある。そうしないと高確率でブレる。
ボケ
optio xを含めて極小センサーのコンパクトデジカメは基本的にあまりボケない。だから撮影時にボケを意識することはないのだが、構図によっては活かせることもあるので一応作例を載せておきたい。
わずかに隅が流れているようにも見えるが、おおむねきれいにボケている。
このように近くの被写体にピントを合わせれば背景はボケる。しかしこんなに被写体に近づいて撮る機会は多くない。
ここまでは広角端(35mm)でのボケの例。
こちら↓は望遠端(107mm)での例。
望遠端でもきれいにボケる。しかし重ねて言うが接写しないとこのボケ量は得られない。小さなニチニチソウの花をこれだけ大きく写してようやく得られるボケなのだ。人物撮影でこの背景ボケが得られると思ってはいけない。
次は前ボケの例。
ボケ量は多くないがきれいにボケている。前ボケ後ボケ共に癖はない。
作例
ここからは特に意図のない作例写真。
カメラの画質設定はデフォルト値からコントラストと彩度を+1にしている。プラス1と言っても3段階しか調整できないのでプラス1が最高。
逆光でもそれほどコントラストが低下しない。性能が優れているということだがオールドデジカメに期待される画質とは違うかもしれない。
オールド風の描写にしたければ露出補正すると良い。
露出補正は液晶下中央にある十字キー(スティック)でできる。↑このようなフレアっぽい描写にしたければプラス補正すれば良い。スティックを右に倒す。
この機種はメニューに潜らないでスティック操作でダイレクトに露出補正できるのが良い。地味なポイントだが、露出補正のダイレクト操作が可能かどうかは実用上大変重要である。スティックは押しボタンも兼ねているので操作には少し注意が必要。
広角端では周辺減光が見られる。
二十年近く前のデジカメだが日中から日没後まで良好な撮影結果が得られた。もっと悪い結果を予想していたのだが。デジカメはこの辺りの時代で一旦完成していたのかもしれないなと感じた。なお、オートフォーカスは遅い上に薄暗い場面では迷いやすく、この辺は最近のデジカメやスマホに太刀打ちできない。
積み木
一時期、この機種を積み木のように積み上げたいという衝動に駆られ、ヤフオクに流れているジャンク扱い品を拾い集めていた。
その後、情熱は冷め、今手元には7台という中途半端な数のXがある。
そろそろ放出する頃合いか。