fortia’s カメラレビュー

カメラと猫と骨董品

XF10のダイナミックトーン

XF10に搭載されているアドバンストフィルターのダイナミックトーンを使ってみた。

35mm判換算28mmの広角単焦点レンズ搭載のXF10。

X70と並べてみた。画質比較は下記参照。

ここで掲載する写真はすべてXF10のダイナミックトーンで撮影したものです。

コントラストによる黒つぶれのおかげで細かい部分が見えなくなり雑然とした街並みにも調和が訪れる。……単に青空がきれいなだけかな。

派手な効果を期待して普段は撮らない対象を撮りたくなる。

野毛の有名なジャズ喫茶、その跡地。

このフィルターは青空がとても深い色合いで表現される。

歪曲のないレンズを活かす。

コントラストによる白飛び黒つぶれで消えてしまう部分が多いから、スカッとした写真になりやすい。余計な情報がなくなる。

トタンに惹かれる。

本当にきれいな青が出るフィルターだ。

LA-EA5でSIGMA24-70mmF2.8EX DGを使う

シグマの古いズームレンズ、24-70mmF2.8EX DG MACRO 非HSM。

2005年2月3日発売。もはや20年近く前のレンズということで準オールドレンズと呼びたい。でかくて重いシグマレンズは多分このあたりから。いつどこで買ったのか記憶にないが、多分明るい標準ズームを1本くらい持っておこうと考えて中古品を購入したのだと思う。

一眼レフ用Aマウントレンズだがソニー純正マウントアダプターLA-EA5を経由することでα1によるオートフォーカス制御が可能になる。C-AFも機敏に動くがガコガコ音を出しながら小刻みに動き続けるので多用したくはない。

↑一番短い状態。↓広角端24mmの時に最長になる。

α1+LA-EA5+SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 24mm, F6.3, 1/1000

α1+LA-EA5+SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 24mm, F6.3, 1/1000

広角端では周辺減光が激しく独特の雰囲気を持った写真になる。

α1+SIGMA24-70mmF2.8DG,  ISO100, 24mm, F2.8, 1/2500

α1+SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 24mm, F2.8, 1/2500

古いレンズにありがちなぼやけた印象にはならず、ズーム全域で高コントラストの濃厚な写りを見せてくれる。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO160, 70mm, F2.8, 1/320

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO160, 70mm, F2.8, 1/320

望遠端、きれいにボケる。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 70mm, F2.8, 1/1600

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 70mm, F2.8, 1/1600

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 24mm, F4.5, 1/640

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 24mm, F4.5, 1/640

歪みは大きい。広角端、特段厳しくない↑この構図でも建物に樽型歪曲の影響が見られる。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 35mm, F4.5, 1/640

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 35mm, F4.5, 1/640

35mmにすると今度は糸巻き型の歪曲収差が。45mmで撮った写真にもこの歪みは残っていた。標準ズームで50mm近辺が歪むのは珍しい気がする。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO125, 45mm, F3.5, 1/250

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO125, 45mm, F3.5, 1/250

うるさく見ると気が付くだけで普段のスナップ写真で気になるようなレベルではない。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 70mm, F2.8, 1/800

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 70mm, F2.8, 1/800

逆光でのフレア発生はあるが、逆光に弱いというほどでもない。これは光線の条件が悪いとこういう写真になることもあるという例で、逆光でいつもこういう写真になるわけではない。この例でも絞れば解消する。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO200, 70mm, F8.0, 1/320

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO200, 70mm, F8.0, 1/320

MACROを冠したレンズだけあってズーム全域40cmまで寄れる。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO200, 70mm, F2.8, 1/320

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO200, 70mm, F2.8, 1/320

拡大

使ってみた印象は何でも撮れる便利なレンズ。重くてデカいから使い勝手が良いとまでは言えない。

コントラストの高いクッキリした描写のレンズではあるが、デジカメ対応以前のモデルであるため周辺の解像力は厳しい。

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 24mm, F2.8, 1/1000

α1+ SIGMA24-70mmF2.8DG, ISO100, 24mm, F2.8, 1/1000

中央部拡大F2.8

左上拡大F2.8

F8

F16

広角端24mmだとF16まで絞って何とか安定する。35-50mmくらいではF8まで絞れば安定し、70mmではF5.6で大丈夫。とはいえ四隅をピクセル等倍で鑑賞して云々する時代のレンズではないと思う。

Carl Zeiss Jena Sonnar 1:2 f=8.5cm をデジカメで使う その2

前々回の記事に続き、戦前ツァイスの85mmゾナーで撮影した写真を紹介したい。

写りとは関係ないがこのレンズ、見た目がかっこいい。そして重い。のちにアルミ鏡筒となり軽量化されるが工芸品として見るとこちらの方が魅力的だ。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/2000

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/2000

コーティングのない時代のレンズだからフレアが生じることも多いが条件が整うとコントラストの高い写りを見せてくれる。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm,  ISO100, F2.8, 1/80

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2.8, 1/80

とはいえ現代レンズのようにカリカリに写るわけではない。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/1600

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/1600

例えばこの写真。ぱっと見コントラストが高く見えるが拡大してみると、

中央拡大

中央拡大

意外と甘い。レンズ性能の話で「コントラストは高いけど解像力はそこまで高くない」という表現を聞くことがある。このレンズはそれにあたるのかもしれない。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm,  ISO100, F4, 1/200

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F4, 1/200

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm,  ISO100, F2, 1/1000

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/1000

画が白むのはフレアの影響もあるが露出オーバー気味に撮っているせいでもある。その方がこのレンズを活かせるような気がした。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F4, 1/125

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F4, 1/125

ピント部拡大

ピント部拡大

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F,2 1/4000

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/4000

中央拡大 絞り値F2

中央拡大 絞り値F2

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F,4 1/1250

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F4, 1/1250

中央拡大 絞り値F4

中央拡大 絞り値F4

絞ると像が良好になるもののその差は大きくない。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO125, F5.6, 1/125

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO125, F5.6, 1/125

マークイズみなとみらいの外廊下から。写真好きが思わずカメラを構えたくなる魅力的な構造物。レンズに歪曲収差はなさそうだ。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm,  ISO100, F値不明, 1/160

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F値不明, 1/160

いや、わずかに糸巻か。

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/400

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F2, 1/400

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm,  ISO100, F8, 1/640

α1+CarlZeissJena Sonnar 8.5cm, ISO100, F8, 1/640

オールドレンズを使うたび、今でも通用するその性能に驚かされる。

次はこの組み合わせで使ってみたい。

ドラマチックトーン E-PL2 アートフィルター

オリンパスのE-PL2。E-PL1に比べデザインがスタイリッシュに。PL2にはPL1になかったアートフィルター、ドラマチックトーンが追加されている。前回の記事コメントで教えて頂いたこのフィルターを試してみた。

掲載する写真はすべて↑の組み合わせ、E-PL2とM.Zuiko14-42mmF3.5-5.6IIで撮影したもの。

何気ない景色がホラー映画の一場面に。

鉄工所かっこいい。トタンのコントラストが強調されて現代建築のようなシャープな印象に。

何でもかんでもおどろおどろしい写真になってしまうわけでもなく、

明るい写真ができあがることもある。


古いデジカメもまだまだ使える。

Carl Zeiss Jena Sonnar 1:2 f=8.5cm をデジカメで使う

前回の記事で比較した2本のうちの曇っていない方をデジカメで使ってみた。

ゾナー8.5cmをアダプター介してα1に

コンタックスの外爪レンズをデジカメで使う時は↓このような外爪専用アダプターが良い。これはライカスクリューマウントに変換するアダプター。以前はebayでロシアの出品者から2,000円くらいで購入できたが今どうなっているかは分からない。

コンタックスLeicaスクリューのアダプター

それでは実際に撮影した写真を。最初の遠景写真はα7R2で撮った。

α7R2 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/6400

α7R2 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/6400

周辺減光は大きい。

中央部拡大

中央部拡大

開放だと全体的に甘いが中央はまあまあ良い。

右端部拡大

右端部拡大

周辺部はかなり甘い。

次はF5.6まで絞って撮影。

α7R2 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F5.6, 1/1000

α7R2 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F5.6, 1/1000

F5.6中央部拡大

F5.6中央部拡大

F5.6右端部拡大

F5.6右端部拡大

画面全体でコントラストが上がった。そうてつローゼンの文字もはっきり見える。関係ないが広島を旅行した時にゆめタウンの看板を見て「ああ広島に来たんだな」と実感したことを思い出した。

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/500

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/500

中央

撮影時に露出補正ダイヤルを+1.3にしていたから露出オーバー気味の写真が多い。オールドレンズらしい描写の甘いレンズだから、この方がらしさが強調されて良いかなと。

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F5.6, 1/160

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F5.6, 1/160

中央上

中央上

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/320

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/320

フレアっぽくなってしまったが、それが良い雰囲気を出していると思う。

光の状況によって白むこともあれば高コントラストに写ることもある。

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/1250

α1 + Sonnar8.5cmF2,  ISO100, F2, 1/1250

中央


つづく

曇った8.5cmイエナゾナーと透明なそれの比較、実写への影響

曇ったゾナー

戦前カールツァイスイエナのゾナー85mm。↑数年前に入手した個体は前群に重度の曇りがあった。ヤフオクによくあるジャンク”扱い”品で、出品写真では曇りを確認できなかったのだ。

時々オクに流れてくる品を眺めていると、同じ曇りを抱えているものがあるので持病かもしれない。購入する際はお気をつけください。

透明なゾナー

先日、比較的きれいに見える個体が出ていたので落札した。これもジャンク扱い品で正直気は進まなかったが、あまり市場に出回らない品だから仕方ない。幸い前群の曇りもなくオールドレンズにしては透明度が高かった。やっとゾナー8.5cmの本来の写りが確かめられる。

曇り個体とどの程度の差があるのか、アルファに付けて比較してみた。

α9 + 透明なSonnar8.5cmF2, ISO100, F2, 1/30

α9 + 曇ったSonnar8.5cmF2, ISO100, F2, 1/30

曇りレンズの方は画面が白む。分かりやすいようにジフアニメにした。

強い光源がある状況では、やはり相応の影響が見られる。

順光で撮影した場合は特に変わりなかった。

E-PL1のアートフィルター 昔のデジカメ

2010年3月に発売されたマイクロフォーサーズ規格のデジタル一眼カメラ。E-P1の発売から半年程度で登場した下位機種。下位とはいえ価格はそれほど安くなかったと思う。(当時のデジカメウォッチ記事を見ると標準レンズ込みでE-P1が10万円前後、E-PL1が8万円前後。)

E-P1はスタイリッシュなデザインだったが、これはそれよりも保守的な形にまとまっている。たしかE-P1がグリップのデザインで論争を起こしていたから、その辺が考慮されたのだろう。

このカメラは中古で購入したものなので当時販売されていたレンズキットがこの組み合わせだったかどうかは分からない。当時E-P1を羨望の眼差しで見ていた記憶はあるのだが、マイクロフォーサーズのズームレンズについてはどうもよく覚えていない。

機材整理で手放す前に動作確認含めて持ち出してみた。

アートフィルター

このカメラにはアートフィルターという機能がある。使ってみると負荷が大きいのか、いくつかのフィルターで動作がやや緩慢になる。私が使用したSDカードの速度不足もあるかもしれないが、ライブビュー画面でSDカードの読み書きはしないと思うので元々の性能だろう。

以下掲載する写真はすべてアートフィルターで撮影したもの。使用したレンズは上の写真にある14-42mmのオリンパス標準ズームレンズと、パナソニックの14-140mm。

E-PL1+LumixGvario14-140mm, ISO200, 14mm, F9.0, 1/500 ポップアート

E-PL1+LumixGvario14-140mm, ISO200, 21mm, F6.3, 1/200 ジェントルセピア

E-PL1+LumixGvario14-140mm, ISO200, 14mm, F3.5, 1/80  ファンタジックフォーカス

ソフトフォーカスっぽくなるフィルター。数枚試してそれ以降使わなかった。コントラストが低下するので眠い写真になりがち。色が濃厚だったり輝度差が高い被写体など、使うべき状況が限定されるフィルターだと思う。

E-PL1+LumixGvario14-140mm, ISO200, 46mm, F5.6, 1/125  ポップアート

彩度とコントラストが上がるポップアートが面白い。

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO200, 14mm, F3.5, 1/80,  ポップアート

コントラスト上げると何でもドラマチックになる。

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO200, 14mm, F4.5, 1/125,  ポップアート

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO640, 14mm, F3.5, 1/60,  トイフォト

↑これはトイフォトという周辺減光が加わるフィルター。色合いとコントラストの調整も入る。このフィルターは処理が重いようでライブビューがコマ落ちする。

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO320, 14mm, F3.5, 1/60,  トイフォト

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO250, 14mm, F3.5, 1/60,  トイフォト

トイフォト、絵はいいのだがもたつくので頻繁に使う気がしない。

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO320, 29mm, F4.8, 1/60,  ジェントルセピア

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO200, 14mm, F5.0, 1/125,  ラフモノクローム

色がない方がかっこよくなる景色もある。

E-PL1+LumixGvario14-140mm, ISO200, 46mm, F5.6, 1/125  ジェントルセピア

↑昭和の面影残る商店街と理髪店。

 

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO250, 19mm, F4.0, 1/60,  ラフモノクローム

良い壁。

E-PL1+M.ZUIKO14-42mmF3.5-5.6II,  ISO1600, 31mm, F4.9, 1/40,  ラフモノクローム

E-PL1+LumixGvario14-140mm, ISO200, 14mm, F7.1, 1/320  ポップアート

普段RAWでしか撮らないのでたまにこういうのを使ってみると新鮮で楽しい。

動作が少し鈍いものの今でも十分使えるカメラである。