fortia’s カメラレビュー

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広角レンズで大は小をかねるか?

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コシナフォクトレンダーの超広角シリーズ、左から15mm、12mm、10mm。3つ揃える人はあまりいないと思う。買うとしてもどれか一つだろう。で、どれを買うか決めるとき結構悩むと思う。「あんまり広すぎても使いづらいから15mmが無難かな」「でもせっかくだから一番広い範囲が写る10mmに」「いやでも10mmでは不自然な写真しか撮れなさそうだから間を取って12mm」というように。

実際に3つとも使用した上での感想としては、15mmが無難で良いと思う。

f:id:fortia:20180420001915j:plainα7SII + Super Wide-Heliar 15mm Aspherical III

適当に写しているだけでドラマチックな写真になる。不自然な写真になることもあまりない。想像よりずっと扱いやすい。扱いやすいとは言え、対角110度の画角なので十分すぎるほど広い範囲が写る。正直なところこれ以上の広角を求める気は起こらない。

というわけで一般的には15mmが最適解なのではないかと思う。3本中一番安いし。

ただ、個人的には10mmには10mmのおもしろさがあると思っているのでこれも使いたい。普段は15mmを付けておいて、ここぞという場面で10mmを、というのが理想だが、実際のところレンズ交換は面倒だ。そこで日頃持て余し気味なα7RIIの4,000万画素を活かせないかと考える。

10mmで撮影した写真を必要に応じてトリミングして15mmに相当する写真を切り出せばいいんではないか。

これでレンズ交換は不要になるし、余計なレンズを所有する必要もなくなる。トリミングすると画素数が減るわけだが、元々多すぎるくらいだから半減したって別に構いはしない。

実際にどのくらい減るのかというと、

α7RIIと10mmで撮影した写真を

12mm相当にトリミングするとおおよそ2,900万画素

15mm相当にトリミングするとおおよそ1,800万画素

になる。1,800万画素もあれば十分だ。A3印刷だって十分いける。

あとはトリミングで同じ構図の写真を切り出せるかどうかが問題だ。レンズによって歪曲の補正具合などが違うので、もしかしたら違いが出てくるかもしれない。これは実際に撮影して調べてみたい。

それでは同じ場所から3本のレンズで撮影した写真を並べてみる。

f:id:fortia:20180421231040j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical

f:id:fortia:20180421230936j:plainα7S + Ultra Wide-Heliar 12mm F5.6 Aspherical II

f:id:fortia:20180421230456j:plainα7SII + Super Wide-Heliar 15mm Aspherical III

こうして並べてみるとやはり10mmは広い。15mmが狭く感じてしまうが、実際に使っていて15mmを狭いなんて感じることはないから15mm購入予定の人は心配しないでほしい。

では10mmで撮影した写真をトリミングする。まずは12mm相当に。

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次に15mm相当。

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周辺減光がなくなるので雰囲気は変わる。三脚を使わなかったので微妙なずれはあるが、だいたい同じ構図で切り出すことはできていると思う。

できているとは思うが、いまいち分かりやすくないので今度は三脚を立てて完全に同一の位置から同一の角度で撮影した写真で比較してみたい。

f:id:fortia:20180427020003j:plainα7RII + HeliarHyperWide10mm

f:id:fortia:20180427020045j:plainα7RII + UltraWideHeliar12mm

f:id:fortia:20180427020103j:plainα7RII + SuperWideHeliar15mm

それぞれの写真を重ね合わせてみる。

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やはり歪曲の補正具合に違いがあったり、レンズ交換の際に極々僅かにカメラの向きが変化してしまったりするので完全に一致するわけではないのだが、実用上問題ないレベルで大(10mm)が小(15mm,12mm)を兼ねていることは伝わるだろう。

実際に色々撮影してみた結果も載せていきたい。

f:id:fortia:20180509235616j:plainα7SII + Super Wide-Heliar 15mm Aspherical III

f:id:fortia:20180510002606j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical 15mm相当へトリミング

ほぼ同じ写真に見えると思う。周辺減光がなくなっているのが違いだが、これはメリットと捉えることもできるし、人によっては味がなくなってしまったと思うかもしれない。

トリミングする前の画像は↓

f:id:fortia:20180510002547j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical

 なお若干色味が違うのはカメラが違うためと思われる(7SIIと7RII)。

f:id:fortia:20180511000336j:plainα7SII + Super Wide-Heliar 15mm Aspherical III

f:id:fortia:20180511000454j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical 15mm相当へトリミング

これも大体同じ構図で切り取れた。おまけに15mmよりもコントラストが高くなっている。多分15mmの方は太陽の位置が厳しいせいでコントラストが低下している。逆光に対する強さはどちらのレンズもそれほど変わらなかった記憶があるのでレンズ に対する光源の位置が原因だと思う。10mmで撮影したトリミング前の画像はこちら↓

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この太陽の位置の方が15mmの方の画面外ギリギリの位置より条件としては良かったのだろう。周辺減光の低減と同様に副次的な効果が得られた例だが、これに関しては光源の位置によっては逆の場合(10mmの方がフレア気味で15mmだと回避できる)もあるだろうからメリットとは言い切れない。

もう一つ副次的な効果として傾き補正が挙げられる。上の写真では見ての通り元画像の方は傾いてしまっていたのでトリミング時に傾き補正してある。超広角レンズではきっちり水平をとったつもりでも大きく傾いてしまうことがあり、撮影時に結構神経を使うのでトリミング前提、傾き補正前提での撮影というのは気楽で良い。

f:id:fortia:20180515230524j:plainα7SII + Super Wide-Heliar 15mm Aspherical III

f:id:fortia:20180515230612j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical 15mm相当へトリミング

トリミング前の元画像は↓こちら。

f:id:fortia:20180515230719j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical 

 

f:id:fortia:20180515231647j:plainα7SII + Super Wide-Heliar 15mm Aspherical III

f:id:fortia:20180515231828j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical 15mm相当へトリミング

↓トリミング前の元画像

f:id:fortia:20180515231713j:plainα7RII + Heliar-Hyper Wide10mm F5.6 Aspherical 

実際にやってみると、画角的な代わりを果たすという役割以上に周辺減光を回避できたり傾き補正の余裕が得られたり、メリットが多いことが分かった。

10mmレンズがあれば12mm、15mmは必要ないなというのが今回至った結論。

(なおHeliarHyperWide10mmはフィルターが付かないのでPLフィルターなどを使いたい人にとってはまた別の悩みが生じます。)