fortia’s カメラレビュー

カメラと猫と骨董品

Steinheil München Auto-Quinar 1:2.8 f=135mm

シュタインハイルミュンヘンのエキザクタマウント望遠レンズ。このレンズを初めて見た時その美しさに魅せられた。私は古い真鍮鏡筒レンズが重みがあって好きなのだが、シュタインハイル社のこのレンズはアルミ合金(と思われる軽い金属)鏡筒にもかかわらず重厚さを感じる仕上げとなっていてすばらしい。

フードがまたかっこいい。

STEINHEILのロゴもかっこいい。

シリアルナンバーから、

1956-57年あたりに製造されたレンズと思われる。

当時のアメリカのカタログがPacific Rim Cameraのリファレンスライブラリーにあったので見てみると、

https://www.pacificrimcamera.com/rl/01918/01918.pdf

このレンズの価格は$189.5。当時のレート1ドル360円で計算すると7万円くらいか。初任給1万円の時代だったようだから大層な額である。

アメリカにおいてはどうだったのだろう。

CPI Inflation Calculator (bls.gov)

アメリカ労働統計局のサイトにある物価変動計算機に入れてみると当時の$189.5は今の$2,098相当と出る。アメリカでも高級品だった。

しかし、こうやって見るとお金の価値の減りっぷりが凄まじい。入ってくるお金を次々とカメラに替えてしまう私の愚行も長い目で見れば実は正しいのかもしれない。そうであるよう願っている。

先ほどのカタログを見ていて、もう一つおもしろい事実に気付いた。今回紹介したAuto-Quinar135mmF2.8には下の写真にあるような絞りとシャッターを連動させる装置が付いているのだが、

レバー操作により絞り羽根の開閉と本体シャッターボタン操作の両方が行える(自動絞り)

シュタインハイル社のラインナップにはこの自動絞り機構が付いていないプリセット絞りタイプの135mmF2.8レンズもある。見ての通りレンズ構成は同じである。

Pacific Rim CameraのWebサイトに掲載されているカタログから

レンズ構成が同じ、つまり写りは遜色ないはずなのに価格は半額近い。旧型の在庫処分価格なのかもしれないが驚きの価格差である。

防湿庫を覗いてみたら旧型もあった。旧型の方が絞り羽根の枚数が多かった。

長くなってしまったので、このレンズで撮影した写真の掲載は次の記事で。