ジャンクのロッコールを入手したので使ってきた。曇り・カビ・虫の死骸・黄変あり、ピントは5m以上遠方に合わないという重症レンズ。
写真だと分かりにくいかもしれないが驚くほど黄変していた。ここまで黄色いレンズは見たことがない。ガラスに放射性物質のトリウムを使用したレンズは黄変するという。
昔、気になって「はかるくん」というガイガーカウンターを借りて手持ちのレンズを調べてみたことがある。黄変していたjupiter-9 85mmF2は問題なかったが、黄色くなっているようには見えなかったMCロッコールの135mmF2.8が放射線を発していた。
今回のこのレンズがどうかは分からないが同じ時代のロッコールだし、ネットを検索するとそれに言及したページが複数ヒットするから多分そうだろう。ただ、トリウムレンズだとしても出てくる放射線は大した量じゃないから心配はいらない(計測した当時にあれこれ調べて私が辿り着いた個人的な見解)。
撮影における黄変の影響は大きく、レンズ内曇りによるソフト効果と相まって、まるで記憶の中の風景といった具合の幻想的な絵が撮れた。なおここに掲載する写真はすべてマウントアダプター経由のα1で撮影したもの。ホワイトバランスは太陽光。F値は多くが開放F2.5だが被写界深度を稼ぐ為にF11程度まで絞った写真もいくつかある。
ここまでレンズに興味を示した猫は今までいなかった。何か見えたのかな。
ホワホワした写真ばかりなのでレンズ性能が低いのかと思いきや
素性は良さそう。
今は色褪せてしまった壁画は当初どんな色だったのか、今は寂しいこの場所は当時どれだけ賑わっていたのか、ここを通るといつもそんなことを空想する。
今回使ったレンズ、ロッコール28mmF2.5。この時代の28mmでよく見かけるのはF3.5とかF2.8のスペック。F2.5は珍しい。高い屈折率を誇るトリウムレンズだからこそ実現できたスペックなのかもしれない。