fortia’s カメラレビュー

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MC W.ROKKOR-SI 1:2.5 f=28mm の分解修理

先日紹介した重症ロッコールの修理を試みた。

前面はコーティング剥離か

症状としてはまず無限遠が出ない。ピントリングを回し切っても5mくらい先までしか合わない。

α1 + W.ROKKOR-SI28mmF2.5  ISO100, F2.5, 1/2500

このサイズで見ると問題ないように見えるかもしれないが切り出して見ると、

遠くにピントが合わない

全然ダメ。オーバーインフ気味のマウントアダプターを使ってこれだから本来のMDマウントカメラに付けたらもっと悪いだろう。

5m以内はピントも画質も問題ないので、レンズ自体に異常があるわけではない。おそらくピントリングの位置がずれている。

レンズ前群を外すと現れるネジ

銘板を外した後、前群レンズユニットを外すと↑この写真のような状態になる。外側のネジ3つがピントリングとヘリコイドを固定している。このネジを緩めてピントリングをあるべき位置に戻した。

レンズを嵌めて確認してみる。

α1 + W.ROKKOR-SI28mmF2.5   ISO100, F2.5, 1/1600

上の写真の中央部切り出し

直った。やはりピントが来ると気持ちいい。

とりあえず、これでピント問題は解決した。

次に虫の混入とカビ。

実際はこの写真で見るより真っ白なので画質への影響は大きいと思う

虫の死骸からカビが広がっている。レンズ内に侵入した虫が死んで、そこからカビが発生したようだ。何という虫か知らないが、この虫が入っているレンズはいくつか見たことがある。

このカビは虫を養分にして広がったのだろうか。虫なしで発生するカビと、このカビは種類が違うのだろうか。

色々と興味は尽きないが顕微鏡観察するほどの情熱はないので、さっさと拭き取ってきれいにする。

これで霧が掛かったようなソフト描写は消えるだろう。もうあのような写真は撮れないとなると少し残念だ。

次は曇り。

レンズ前玉に曇りが見られるが、傷やコーティング剥離でどうしようもなさそうだからこれは諦めた。

レンズ前群内部にも謎の汚れがある。レンズの内側だし、何となく解決できない汚れのような気がしたので、ここも手をつけないでおくことにした。迷った時は踏み込まない。いずれ技量ある人の手に渡った時に解決してもらえばいい。今は私が所有しているが、クラカメはみんなの共有財産みたいなものだから。無闇に傷つけない(と言いつつたくさん破壊してきた)

修理前と修理後で撮影した写真を比較してみる。

分解清掃後

修理前

修理前に比べてフレアが減ってコントラストは向上した。しかしどうなんだろう。

フレアで背景が溶けてしまっている写真の方が主題のひまわりに視線が向かいやすく、写真として優れている気もする。背景が高コントラストだと注意がそっちにも持っていかれて印象が薄くなる。

写真表現ということを考えると、性能低下して写りすぎなくなったジャンクレンズは案外有利なのかもしれない。