少し前の記事で、街で構えたら危険なレンズとして紹介したタクマー300mm望遠レンズ。
長さ25cm質量1.5kgの大砲。いつも通りジャンクとして入手した品だ。
↓こちらのブログによるとこのレンズには3群3枚の前期型と4群4枚の後期型があり、後期型は更に分類できるとのこと。
タクマー300mmF4 後期型 5タイプあった: つんつんブログ
私のレンズは絞りがF32まであるタイプの後期型だ。
ジャンク品なので当たり前のようにカビが生えている。
これは後玉だが、ここ以外にも問題がある。
前から覗くと、虫の死骸と思われる物体とそこから生えたカビが見える。
絞りの後側、前から3群目のレンズ上にある。
とりあえずこのカビだらけの状態でデジカメに装着して撮影してみる。
割と普通に写った。
大気の揺らぎがあってテストにはやや不適な天候だった。
数枚撮影した結果、コントラスト低めのオールドレンズらしい写りと感じた。
清掃により低コントラストは改善するだろうか。分解してみる。
↑ねじるだけでレンズ部(上)とヘリコイド部(下)に分離できた。
これで後玉が取り出せる。盛大にあったカビは簡単に清掃できた。
残念ながら虫の死骸には到達できなかった。
あれこれ眺めて構造を推測するに、レンズ部は絞り羽根の前後で前群後群に分離できると思うのだがゴム輪やゴム手袋を使ってひねってみてもダメだった。
回転方向も両方試したが。
一番ひどい後玉のカビはなくなったから、まあいいやと諦めた。
清掃後のレンズで撮影した結果は以下。
変わらない……
よく写ってはいるのだが、コントラスト不足な印象は変わらない。
モヤっとした写りになっているのが分かるだろうか。なお、猫の眼差しが不審者に向けられるようなそれになっているのは、巨大なレンズを向けられ警戒感が高まっているためと思われる。
このクラスの望遠レンズは被写界深度が非常に浅く、ピントを遠方に置いても背景がよくボケてくれる。ピントを遠めに置いても背景がボケるというのは写真表現においてとても重要な要素だと思う。
現代レンズのようなシャキッとした写りにはならないが、変な癖もなく、時代を考えると優れたレンズだと思う。
猫には逃げられた。