fortia’s カメラレビュー

カメラと猫と骨董品

光の感覚

パソコンやスマホのディスプレイは拡大して見るとこの写真のように赤と緑と青の三色の輝点で埋め尽くされている。

表示中のディスプレイをマクロレンズで拡大撮影

赤を表現する場合は赤だけ点灯して残り二つは消灯。青なら青だけ点灯、黄色の場合は赤と緑が点灯する。白なら全部点灯。といった具合に三色の輝点の明るさを調整して様々な色を表現している。別々の光でも網膜の同じ領域に同時に照射されると一つの色として認識してしまう人間の視覚特性を利用している。

考えてみると、この「黄色の光と、赤い光緑の光混合、を区別できない視覚仕様」はちょっと面白い。違う成分で構成される光だというのに同じ色に見えてしまい、違うと分かっていても色を感じる感覚経験は絶対で変えようがないのだから。視覚を弁別器として考えると低性能な気もしてしまう。

もっとも、自然界でこの区別が必要な状況というのもちょっと思い浮かばないし、区別できたらできたで脳が混乱する気もするから、これが正解なんだろう。仮に混色という視覚経験が起こらない仕様だとすると、白い光を見るたびにいちいち「これは黄色と青」とか「これは赤と橙と黄色と黄緑と緑と水色と青と紫」などと意識に上ってくるわけだから鬱陶しい事この上ない。

脳の中の子ネズミ(Adobe Frescoで描いた)

何でこんなことを書いたのかと言うと、リコーペンタックスがモノクロデジカメを出すと聞いて、ベイヤーとかフォビオンとか偽色とか画素補間について考えているうちに、実は光の性質やそこから励起される感覚についてよく知らなかったなと思って。