2004年1月に発売されたカシオのコンパクトデジカメQV-R51。イメージセンサーは普通のコンデジより少し大きめの1/1.8型で500万画素。
ガワは金属製でしっかりした作りになっており安いカメラではなかったと思われる。
いつも通り百円ジャンクで入手。
シールが貼られたままのきれいな個体で期待は高まっていた。高まっていたが。
なんかおかしい。
撮影した写真をPCに取り込んでみると、
何を撮ってもピンク嵐になってしまう。
これはきっとあれだ。
ソニー製CCD不具合問題とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書
結構大きな話題になったのでご存じの方も多いと思う。ソニーがイメージセンサーの製造工程を変えて、不良リスクの高い製品をたくさん作ってしまったという問題。ソニー製CCDは様々なメーカーのカメラに使われていたので影響は広範に及んだ。
QV-R51ににソニー製CCDが使われていたという情報は見つけられなかったが、発売時期が同じで同スペックのセンサーを搭載したペンタックスのoptio555がリコールされているから、
ペンタックス、「Optio 555」など6機種でCCD不具合
多分これもそうだろうなと。
とりあえず分解してみる。
分解しようと底を見たらネジが2本なくなっていた。前所有者が修理を試みたのだろうか。
分解は特に難しくない。
液晶部分を外すとイメージセンサーにアクセスできる。KX866という型番のセンサーなのかと思って検索してみたが情報は見つからなかった。
取り外せた。これを顕微鏡で観察する。
以前、同様にコンデジのセンサーを観察した時はSONYの文字と型番があったから今回も探してみたが、
このセンサーでは見つからなかった。
『日経ものづくり2005年12月号』にソニー製CCD不良問題について詳しく書かれているのだが、それによると不良の原因は、接着剤由来のガスの発生により電極が酸化、剥離し、CCDチップとリードフレームを繋ぐワイヤーが外れてしまうことだそうだ。
ワイヤーの存在は確認できたが不良があるのかどうかはよく分からない。上の金色のパッドが腐食しているようにも見えるが、日経の記事によれば影響を受けるのはチップ側のアルミ電極だそうだから不具合が見えるとしたら写真真ん中のラインと思われる。上から見るだけでは分からない浮きがあるのかもしれない。
より詳細に観察するにはチップを封入している表面のガラスを外す必要があり、これを取り外そうと苦闘していたら、
壊してしまった。
もうカメラに戻せなくなってしまったが、傷つけてしまったことで得られた知見もある。
イメージセンサーの階層構造を見ることができた。
この削られたグレーの層がオンチップマイクロレンズとカラーフィルターではないだろうか。
マイクロレンズの役割については下記TOPPANサイトを参考に。
イメージセンサー向けカラーフィルタ・マイクロレンズ/オンチップカラーフィルタ | TOPPAN株式会社エレクトロニクス
CCD不良の原因を見てみたいと思って分解したから、そこに到達できなかったのは残念だが代わりに興味深いものを見られて良かった。