ペンタックス67用のソフトフォーカスレンズをマウントアダプター経由でデジタルカメラに付けて撮影してきた。
このレンズはデジタルではイマイチだった印象があり、ずっと67でしか使って来なかったのだが、最近フィルムが値上げや供給不足で入手しづらくなってきたため、久しぶりにデジタルで使ってみることにした。
ソフトフォーカスレンズは光の強い被写体の周りにフレアを生じさせる。
暗い背景で日向の白い花を撮ったり、
日陰の向こうの日向を撮ったり、輝度差の大きな場面を選ぶと力を発揮する。
木漏れ日が木漏れ日らしく写る。
ソフトフォーカスレンズだから後ボケは滑らかできれいだが、前ボケはだめでふわっとした感じにはならない。理由は↓こちらのサイトが詳しい。3つ目の図。要するにこれはソフトレンズの宿命なのだ。
https://www.oldlens.com/lens%20kyoushitsu04%20hyou.html
上の写真はピントを手前のバラに、下の写真はホテル建物に合わせている。上の写真は後ボケ面積が多くふわっとした写真になっている。対して下の写真は右半分を占めている花の部分、前ボケ領域が全然ソフト描写になっていないことが分かると思う。前ボケが硬いせいで、ソフトフォーカスのふんわりした描写にならない。まあこれはこれでおもしろい特徴だから活かすような撮影を心がけたい。
余談だが、この前ボケ後ボケのバランスを調整できるのがDCニッコール。
ニッコール千夜一夜物語 - 第三十二夜 | Enjoyニコン | ニコンイメージング
昔から興味があって135mmの方はいつか入手しようと思っている。
ピントの前後でボケ方が明らかに違うのは撮影時にピントリングを回しているとよく分かるのだが、撮影された写真を見ているだけだとピンと来ないかもしれない。
一般的に写真は主題を手前に置いて背景をぼかすから前ボケを見る機会は少ないとは思う。
今回デジタルで使ってみて十分使えるレンズだなと認識を改めた。以前使った時はハイライトがすぐに飛んでしまって扱いづらい印象だったが、最近のデジカメはダイナミックレンジが広いからか、白飛びせず色や形を残してくれる。
このレンズ、ヤフオクで1万円以下で取引されるからびっくりする。私は昔新橋のカメラ屋で3万円ぐらいの中古品を購入したのだが、1、2年前だったかあまりに安値で取引されているのを見て悲しくなりもう一本購入した。67-Kマウントのアダプター付きで8,000円くらいだったと思う。アダプターを単独で買ってもそのくらいするのだが……
ヤフオクでは時々出品者が気付かずにアダプターが付いたままのレンズを出品していることがある。写真をよく見ないと分からないような出品内容の場合、マウントアダプターがただ同然で手に入ることも。
このレンズは本当にすばらしいからおすすめ。
上の写真に写っている「ADAPTER K FOR 6X7 LENS」というアダプターと、KマウントをソニーEなりキヤノンRなりニコンZなりフジXなりに変換するアダプターを用意するだけ。ペンタックス機に付けるなら一つ目のアダプターだけでいい。APS-C機の場合は望遠レンズの画角になるため構図の自由度は下がるが、描写自体は変わらないから同じように楽しめると思う。
このレンズは本来中判カメラ(大きなカメラ)用である。本来の使い方をした時の写真は過去に何度か掲載しているので興味あればご覧ください。